行動できない人が、行動できるようにするためのヒント

どう動いてもらうのか。どの行動してもらうのか。そんなヒントをご紹介します。
行動科学マネジメントとは、「人のやる気や態度や性格など、曖昧で偏見のかかりやすい要素に頼ることなく、行動に着目する科学的な手法」ということです。
・どんなチーム、メンバーであっても行動科学マネジメントを活用すれば結果出せる
・結果をだすための具体的な行動の指示をだすことがマネージャーに求められる
・組織ではよくトップ2割、その他8割と言われますが、その8割の人の力をいかにうまく引き出して結果へと導いていくか
著者が強調していたこと
・すべての結果は行動の集積であり、良い行動を増やし、悪い行動を減らすことが重要
・優秀なマネージャーとは部下に「良い結果を出せ」ではなく、「良い結果を出す良い行動」をとらせることができる人
・行動できない部下に対して、「なぜ彼らはできないのか?」ではなく、「どうすれば彼らはできるようになるのか」へ発想を変えること
・部下ができない理由は二つだけ
→仕事のやり方がわからない
→やり方はわかっていても続け方がわからない
・やる気という曖昧な基準で部下に期待しないこと
・仕事ができないということは「仕事にとって重要な行動がとれていないだけ」
正しく動いてもらう技術
①できるだけ早くでは伝わらない
②大事なことは繰り返し、くどいくらいに伝える
③良い行動を繰り返すためにチェックリストを利用する
④誰が聞いても同じように理解できる「行動の言葉」にする
行動科学では曖昧な指示・表現は行動と認められないとのこと。行動がイメージできる表現が必要。例えば「食事制限によってダイエットをする」ではなく「朝食と昼食は今まで通りで、夕食のみ400カロリーに抑える食事制限を3週間続けることで2キロの減量を目指す。体重は毎朝7時に計測する」のような誰しもが同じような行動にを頭に思い浮かべられる表現にすること。
正しく続けてもらう技術
①結果の力が人を動かす
②良い行動を繰り返して習慣にする
③「ポジティブ」・「すぐに」・「確か」なフィードバックが良い行動を繰り返させる
④部下一人一人の自発的に動く理由を見極める
⑤感謝上手な上司になる
人が行動を繰り返すとき、先行条件(行動のきっかけとなる目的や環境のこと)よりも結果の力のほうが大きい。一つの行動を起こした結果は、次の行動を起こすための強い先行条件となる。例えば「お菓子をすすめられた」という先行条件があって、「食べる」という行動をとったとき、その結果が「おいしかった」ならば、すすめられなくてもまたそれを食べる。「まずかった」ならすすめられても食べない、ということ
部下を伸ばす三つのスキルと四つのツール
①挨拶の力
②優先順位より劣後順位
③失敗談を話す
上司の挨拶で始まりと終わりを明確にする。優先順位より劣後順位が重要。つまり「何を捨てるか」を考えることが大事。やらないことを明確にしてからやるべきことに集中すること
①チャートを使う
②積算グラフを使う
③時間割をつける
④コミュニケーション回数を測定表にする
売り上げ目標値などはチャートを用いて、進捗状況を俯瞰できる状態にすることにより、確実に目標に近づいていることを認識させる。積算グラフで行動の蓄積を見える化する。積算グラフは数字が増えるグラフなので積み重ねが実感できる
人を動かす「褒め方・叱り方」
①褒め・褒められギャップを認識する
②すぐにもれなく褒める
③行動を具体的に褒める
④四つ褒めて一つ叱る
⑤結果を叱らず行動を叱る
⑥「事実」を叱り「人間」を批判しない
部下やパートナーが良い行動をしたときはすかざず60秒以内に褒める。大事なのは自分の気分でも、部下の性格や好き嫌いでもなく、「良い行動がとれた」という事実を褒めること。悪い結果が出たのなら、その原因となった行動を一緒に考える。人間性を否定するような曖昧な表現で叱らないこと。
読書メモ:私の仲間であるスーパー野菜バイヤー「中村広興」より
最後にひと言
いかがでしたか。
仕事をうまくまわし成果をだすためには、人間関係の構築・信頼関係が必須ですよね。どんな職場にも、しっかりと行動できる人と、行動できない人がいます。上司としては行動できる人がたくさんいると助かりますが、本当の腕の見せどころは、行動できない人にいかにやる気をだしてもらって自ら積極的に行動してもらえるようになるかです。
行動できない人、やる気がない人は、それはそれで理由があります。すぐに、上司が押さえつけたり、叱責をしているようでは人は絶対に動きません。上司が忍耐強く相手の性格にあわせて具体的な指示をだせるかどうか。
上司が本気で部下、スタッフを育てたいという気持ちがあれば、本書に書かれている項目を1つ1つ取り入れることで、行動できない人も行動できるようになるでしょう。
本書の項目を1年くらい忍耐強く取り組んでも、それでもまったく変わる気配がない時は、その社員は見切りをつけないといけないかもしれません。でも、その決断を下す前に、ぜひ本書の内容を実践されてみてください!
多田健次のオリジナル講座